人は生まれてからすぐに価値の判定がなされている。現在では、メインサーバーでは毎秒に1万京回を超える速さで計算されており、また分散型ネットワーク上でも計算がなされており、その速度年々早くなっている。
まず遺伝子レベルでの価値(基礎点数)に対し、環境や本人の努力、運という各変動要素が加わり、価値の算定がリアルタイムでなされている。人々は何時でも自分の価値を知ることが可能だ。人々は生まれて間もなく、世界で1つのコードを取得する。これを主キーとして、巨大なデータを管理する。主キーは遺伝子レベルで決定されているため、世界で唯一のコードである。今では、銀行を皮切りにあらゆるサービスで生体認証が当たり前になっているが、全てこの遺伝子に組み込まれた一意のコードに紐付いて管理されている。
全人類はどの場所にいてもGPSと「マン・ソナー」と呼ばれる電波で補足されており、地下にいても飛行機で移動していても、常に移動履歴がワールド・マイナンバーと結びつけられ、データベースにリアルタイムに保存されている。このシステムの導入当初は、これらのプライバシーデータを誰が管理するか/悪用されるのではないか、といった懸念があったが、これらのビッグデータはもはや人では管理出来ず、目的別に個別のサーバーでAIが管理していたが、AI同士が自動的に機能をアップデートするにつれて、誰もこのデータ全容を把握出来なくなり、結果として、現在は人は誰も管理しておらず、AIが粛々とデータを収集し、必要とされる場面で使っている。いつしかこういったデータを収集している事も話題に上らなくなった。
この「格付」の応用例として、トロッコ問題の解決が上げられる。例えば、1台のバスに100人の人が乗っており、もう1台の車に大統領が乗っている。その場合、どちらを優先すべきかという問題は長らく自動運転の課題であったが、「人の価値の総計」が算出可能になり、物事の”優先順位”が簡単に決められるようになった。よって、格付は自動運転の本格的な普及に対して大きく貢献することとなった。
※この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。