家庭用ロボット


AI搭載の家庭用ロボット”SuGaR”は5回の大幅な改良を経て、一般家庭に浸透していった。このSuGaRはかつてのWifiの数倍の速度でネットワークに常時接続し、ソフトウェアも随時アップデートされている。家事はもちろんのこと、高齢者の介護と赤ん坊の養育までもこなすことが出来るようになったた。

これにより将来不安が国民の間で徐々に解決してされ、出生率の向上がみられるようになった。その結果、最近では人口ピラミッドが適正に保たれている。
メインの業務や愛くるしい外観とは裏腹に、各家庭の食事の好みから家庭の色々な事情までを収集し、ビッグデータとして活用している。当初は各国政府がデータを政治・治安維持に活用したい思惑から”SuGaR”の開発元であるフィンランドのヒューノドイド社には様々な圧力が掛かった。特に高度に暗号化されたデータを警察などが犯罪捜査やテロ対策に活用したいため、「バックドア」を作るよう強い要請があり、裁判まで持ち込まれた。しかし、ヒューノドイド社の創業者であり、本人も著名なハッカーとして知られる通称”Duke”は、一度もオフィシャルな場に姿を見せず、それらの要請を無視し続けた。その間にデータは膨大な量となり、やはりAIが管理せざるを得ないことになった事が誰の目にも明らかになると、次第にこのデータ活用からAI活用の犯罪防止に論点が移って行った。

しかし、全人類がデータベース化された現在では、全ての行動がトラックされている。今はかつては犯罪と即断された行為が、その当事者及び周囲の関係者の行動を数年間に渡り分析され、「ジャッジ」されている。