政治体制


現在の各国の政治体制は人工知能によって管理されている。

持てる者と持たざる者の格差が余りにも広がったことにより、世界各国で暴動がたびたび起きるようになった。また、この貧富の格差が原理主義者の勢力をはびこらせることになってしまっていた。

特に2020年に世界各国で起こった数か月に渡って連鎖的に続いた暴動事件、いわゆる「桜革命」が起こってから、各国政府は人工知能を駆使し、国民の感情をモニタリングしながら統制をすることを進めてきた。

この格差是正のモデルとして、人口知能のシミュレーションとして社会主義国家のいくつかの国をモデルにしてみたがうまく行かなかった。そこで、先進国の中で比較的格差が少ない国をモデルに管理プログラムを構築していったところ非常にうまく行ったため、この方式を世界各国に拡大していった。
このモデル国家である「日本」は、第二次世界大戦での敗戦後目覚ましい発展を遂げたが、数々の経済政策の失敗により、経済面ではなかなかデフレの脱却が出来ない時期が長く続いた。しかしながら、国民の日本に対する愛国心は非常に強く、礼儀正しくつつましやかな国民性を持っているということで、世界が再び注目をするようになった。この国民の意識を人口知能に学習させることにより、「ジャパン・モデル」を世界各国に広めて行くこととなったのである。

2020年から始まったこの「ジャパン・チャレンジ」は、各国の国が管理するマスター人口知能サーバーをネットワーク化し、瞬く間に国民管理制度を構築した。その結果、国民に均質化した国民性を持たせることに成功した国々が次々と誕生し、世界の均一化が一層進むようになってきた。